閉店まであと13日——————
あれは3月のいつだったか、とにかく日曜日であることは間違いない。
陽も暮れかけた店の前の歩道に、ひとりのおばあちゃんの姿を見つけた。
左手に杖を、右手には岡山市指定の黄色のゴミ袋をもっている。
町内のゴミ捨て場がマチスタのすぐ目の前にあって、
おばあちゃんはそこにゴミを出そうとしていた。
ぼくは厨房でコーヒーを淹れていたんだけど、その姿が目について仕方ない。
というのもそのおばあちゃん、恐ろしく歩くのが遅いのだ。
そのペースといったらまさにカタツムリのごとし。
ちらちら目にしているぼくはというと、わりとせっかちときたものだから、
思わずお客さんに「すぐ戻ります」と言って店を出た。
「その袋、もちます」
いったいに老人に親切というわけじゃない。
今回は親切…